考えるべきは考えることではない
机上や練習の時に優秀な成績を納めていた人が、いざ現場や本番になると役に立たなくなるということは良くあります。急に役に立たなくなるのは理想と現実の乖離を修正することができないからに他なりません。現実に起こることは常に予想できない要素を含んでいます。不確実な要素に対して完璧な対応をすることは誰にとっても不可能です。張子の虎は現実に直面させれば、すぐに皮が剥がれます。条件を絞り込んで予測不能な部分をあえて想定せず、試験対策しかしていない優秀な張子の虎には超えられない壁があるのです。
世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく
- 作者: 渡辺健介,matsu(マツモト ナオコ)
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2007/06/29
- メディア: 単行本
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1 張子の虎が役に立たないわけ
予測できない事態が起れば、頭が真っ白になり身動きすら取れなくなるものです。普通、普段が通用しない状態では机上で学んだ教科書や、想定に限界がある練習など、まるで役に立ちません。そんな現実を目の当たりにして、教えてもらっていないから、練習してないからという言葉は虚しく響くばかりです。自分を納得させることはできても、周りは納得しません。当然、優秀な成績に裏打ちされた信頼も失います。どんなに視界が悪くとも前を見据えて、足場が悪くとも踏ん張って立ち上がる虎は現場でしか鍛えることができないのかもしれません。
2 ベテランが『使える』訳
予測していなかった初めての事態に対応し、『それなりに』振舞うことができる人がいます。過去に多くの『経験』を持っている人です。様々な経験を乗りこえてきた人は、目の前の状況を分析して、自分の中にある数々のサンプルの中から最適なものを引き出し、組み上げて『それなりに』対処することができるのです。『それなり』の精度は乗りこえてきた経験の多さ、高さに比例して上がっていきます。裏を返せば、試行錯誤の中で対応していくためには、今まで積んできた経験しか支えるものが無いといってもいいと思います。身に覚えがない新人には地に足のついた判断はできないのです。
3 考えるべきは考えることではない
予想も出来ない事態に必要になるのは『想定していなかった』ではなく、『考えていた』でもなく、『経験している』でなければなりません。普段は物知り顔で理屈も理論も整合性を語っていても、いざというときに思考停止して立っているのがやっとの張子の虎では意味がありません。そうならないためには、自らあちこちに出向いて様々なことを経験することです。現場に行けば現場を維持している経験を知ることができますし、それを知ることで地に足の着いた対応を考えられるようにもなります。張子の虎が本物の虎になるためは、飾られている雛壇を降りて、ジャングルをあちこち歩き回って足腰を鍛えることに他ならないのです。
経験を積んでくると、余計な思考が省ける
羽生善治
就活で学生は成長するのか? : アゴラ - ライブドアブログ
こうやって私はつまらない人間になっていくのだろうか。
なかの人から見た大学と大学院がクソな理由