今後に必要なのは覚えなくてもいい仕組み
覚えるということは非常に脳のメモリを消費します。特に、いつもと違うこと、新しいこと対してはより多くのメモリを消費します。覚えることに対して多くの労力を割かれてしまえば、パフォーマンスが落ちてしまいます。基本的に使わない知識は忘れていくものです。ですから、大量の知識を無理して覚え続けようとしてもストレスも溜まるばかりでいいことはありません。以前は、記憶媒体や表示装置の関係で脳による記憶が重要視されていましたが、現在は脳の外部にアウトソーシングできる環境が整っていますので、いつ使うか分からない知識を覚えては忘れるといったことはもう終わりを告げなければならないのだと思うのです。
ひとつ上のGTD ストレスフリーの整理術 実践編 仕事というゲームと人生というビジネスに勝利する方法
- 作者: デビッド・アレン,田口元
- 出版社/メーカー: 二見書房
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1 覚えておく必要性は皆一律ではない
いままでの優秀を規定していた暗記能力については過去のものになっています。この暗記縛りが無くなった事で、多くの人に対してあらゆる可能性が開かれているはずなのです。問題は、それを認めようとしない一部の管理者、教育者の偏見です。なぜ覚えなければならないのかを『テストに出るから必要』、『試験に合格するために必要』、『常識だから必要』等といった的を得た回答が出来ない方に問題があるのです。必要そうだと思うことを覚えさせ、それをひたすら確認していく作業など、無味乾燥かつ無意味です。そもそも覚えておく理由はそれぞれの人によって異なるのですから、覚えておくものもそれぞれの感受性に任せればいいのだと思います。覚えることは、判断するために、そして想像するために必要だけなのです。
2 覚えなくてもいい仕組みに必要な考え方
記憶を脳のメモリーの外に置いた場合、すぐに引き出せる状況を作り出すことができるためには、リマインダーが必要です。リマインダーとは、いわゆる引き出しの前につけるタグのことです。しかるべき時に、その時が来たら、無意識のうちに先送りしたものが目に触れるようにしておく仕組みのことです。頭の中で記憶、検索する際には特に気にしなくてもよかったのですが、脳の外部に記憶がある場合、それ自体を思い出すことを忘れてしまうことがあります。一見しただけで中に何が入っているのかを知らせるためにはこれが必要なのです。このリマインダーの管理の仕方が今後の頭の上手な使い方の基本となるのだと思います。
3 リマインダーの使い方
リマインダーの使い方を増やしていけば、脳内も軽快になりますし、抜けを出すこともなく非常にスムーズに仕事や生活を回すことができるようになります。簡単なところでは明日持っていくものは、玄関に置いておく、メモをドアに張っておくことから始まり、電子記憶媒体を使ったスケジュール管理に至るまで幅広く応用できます。基本的に考えるのは「忘れ物しないように事前に目に付くところに置いておくこと」だけです。それぞれの人の生活によって使い勝手はかわると思いますので、自分なりのリマインダーの使い方を模索されたらいいと思います。
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4 リマインダーの副次的効果
リマインダーは習慣付けにも有効に働きます。得意なことや興味のあることに関しては普段から繰り返し目にする機会が多いので放置しても問題ないのですが、苦手なことや興味の無いことは意識的に接点を持たないようになりますから、リマインダーさえも設定することも及び腰になります。苦手、興味が無いことであっても目標達成にはやらねばならないときがあります。そんなときでも有効に働くのがリマインダーです。だれしも、気持ちが弱くなるときはあります。そんなときにリマインダーをうまくつかうことで継続したい習慣に対して三日坊主も防止することもできますし、反対にやめたい習慣にも歯止めが効くことになります。
5 覚えることは時代を経るにしたがって増えていく
一部の人にはデジタルに対して玉石混合が言い訳の材料になっていますが、アナログでも、えり好みすれば偏った知識を植えつけられることに変わりはありません。そもそも、人は見たいものを見るのですから、本質的には何も変わらないと思います。変わらないなら、引き出しにくい記憶媒体には見切りをつけて検索能力を上げていく方が賢明です。あらゆる知識はサーバーやハードディスクに詰め込まれていますし、これからも増えていくことは間違いありません。リマインダーをうまく使って、判断できるよう身軽で軽快に動けるようにしておく方が、今後の賢い生き方だと思うのは私だけではないはずです。
人は誰でも自分の物覚えについてはぼやくが、
誰ひとりとして自分の判断について嘆くものはいない。
ラ・ロシュフコー