すべては聴くという行為から始まる
コミュニケーションの基本は読み書き、話す聴くです。分かりやすい論理構成の仕方などの書き方や、理解しやすい話し方については沢山の講座はあるもの、読み方や聴き方はあまり重要視されていないように思えます。特に聴き方についてはほとんど考察もなされていない気がします。話すときには、より多くを酌み取ってもらうことを期待するのに自分からは汲み取る気がない。自己の利益のために聞くということはあっても、相手の利益のために聞くということはしない。そんな調子でコミュニケーションが採れないというのはすこしお門違いな気がしてなりません。
- 作者: 片山一行
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2009/08/07
- メディア: 単行本
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1 「正しい」正解に導こうとする人は理解することができない
人は相手を立場や考えを受け入れずに自分の見方を相手に押し付けたがります。自分の利益のために一方的に話をされれば聴く気にはなれませんし、自分の利益のためだけに聞かれたのでは話しをする気にもなりません。いつも評価、助言、解釈をもってウロウロしている人に本当のことを話したり、聴きにいったりする気にはなれません。こういった態度が、相互に信頼を失い、孤立させる原因になるのです。相互に疑念を抱き信頼を失えば、表面上で言葉を交わすだけで言葉自体が軽くなります。遠くでそんな罵詈雑言や独り言を言い合っているような状態はコミュニケーションの最悪の例です。
2 コミュニケーションは聴くことから始まる
心を閉ざした人には何も伝えられませんし、何も聴けなくなります。相互理解の前に心を閉ざされてしまっては元も子もありません。コミュニケーションには信頼が必要なのです。その信頼を築きあげる前に、急な押し付けをするから防衛本能が働き、疑念が生まれてしまうのです。そうならないためには、まず相手を理解しようとする「聴く」という行為が必要なのです。特に信頼関係が気づけていない場合には、自分の立場よりも、相手の立場を優先して、積極的に聴かなければなりません。何も聴いていない人が話すことなど薄っぺらい表面的なことでしかありません。あなたのことを大事に考えて、大切に思っているというメッセージを出すのは、話すことではない聴くことからすべては始まるのです。
・商売の素人は商品を売る、プロは問題の解決を売る。
・教育の素人は成績を見る、プロは生徒の素養を見る。
・建築の素人は設計図を見る、プロは設計の現場を見る。
3 聴くためには自制心が必要
しっかり聴くためには準備をしなければなりません。相手の言いたいことを、そのまま受け止めるためには表面的な内容を聞くのではなく、その内側にある感情を聴かなければならないからです。事前に聴く体制をしっかり作って置かなければ、相手の感情に飲み込まれて共感は出来ても、理解をすることができません。喜び、怒り、哀しみ、楽しみをそのまま受け入れることも重要ですが、それに振り回され続ければ疲労困憊になることは明白です。理解を示し寛容の心を持って、相手の心に安心を与えるためには、何よりも揺さぶられない自分を保っておく「自制心」が求められるのです。
4 聴くためにすべき3つのこと
- 1 簡単な言葉に言い換える
コミュニケーションは案外自分の中で処理できないまましてしまうものです。自分の中でもまとまっていないものを相手に話しても通じるわけがありません。ですから、そういったコミュニケーションをとられた場合は言葉を一つ一つ言い換えてあげることです。そうすることで自分自身の中で再構築されるので、何を話しているのかも明確になります。相手の『気持ち』を引き出し、自分の『気持ち』に近づけるには、できるだけ平易に伝える言葉に言い換えることが何よりも重要なのです。
- 2 レベルを合わせる
そもそも話について行くので精一杯の会話でいいコミュニケーションなどできるはずがありません。レベルがかみ合わない場合は話を聞くだけでも頭から煙りが出てきます。自分が多くを知っている場合には相手のレベルに合わせて咀嚼する。相手が多くを知っている場合には、分かるところと分からないところを明示して説明を求めていく。いずれにせよ会話をするなら自分のレベルと相手のレベルを考えることを忘れてはなりません。
- 3 共通の経験値を増やす
どんなことでも自分の実体験や常日頃から考えていたこと等に当てはめれば以外にうまく表現できたりするものです。つまり聞いている人にも同じ実体験や常日頃から考えていることを共有してもらえば理解はスムーズに進むということです。共通の経験が増えれば増えるほどコミュニケーションはうまく図ることができるなら、そういった経験できる場を設定することも重要なことなのです。
5 すべては聴くという行為から始まる
聴くための基本は、自分の外にあったものを内にすることです。それは自分自身が聴くことによって変化することにほかなりません。今の自分が違うものになってしまうことを恐れ、自分の殻に閉じこもりたがる気持ちは理解できなくもありませんが、それは相手も同じことです。自分から動くことなしに相手を非難しても、相手もまた自分の殻に閉じこもって自分を非難をし始めます。変化する自分を楽しみ、周りを変化させることを喜ぶ。そういった人の方が閉じこもった人よりも楽なような気がするのは私だけでしょうか。
本当に人の話を「聴く」ためには、忍耐、自制、そして相手を理解したいという気持ちなど、
高度な人格の要素が必要不可欠である。
スティーブン・R・コヴィー
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