「すべては「先送り」でうまく行く」を読んで感じた待つことの意味
現代は効率を追い求め過ぎるがあまり「スピード」がやたらに求められます。短時間睡眠、速読、ファーストフード、ファーストファッション等々、効率が上がれば上がるほどに息をつく暇もありません。濃い時間をすごせば疲労から判断力は鈍り、忙しすぎれば文字通り心が亡くなるのです。
すべては「先送り」でうまくいく ――意思決定とタイミングの科学
- 作者: フランク・パートノイ,上原裕美子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2013/03/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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速度超過 は危険運転
スピードの出しすぎは自分の許容範囲を超えれば緊張した状態になります。完全に速度超過になれば、張り詰めた糸が切れ、自分だけでなく周りにも被害を与えてしまう可能性もあります。スピードを上げれば上げるほどに視野が狭くなり、普段は見えるものすら見えなくさせ、真に大切なものを見落としたりもするのです。
速さは周囲の流れに逆らえない
自分が早すぎれば周りにもスピードを要求せざるを得ません。自分だけが早くても周りの人が追いついてこなければ結局待つことになります。待てば待つほどにイライラは募り、我慢できずに何でも自分が背負い込めば、当然スピードは遅くなります。流れに逆らえば周囲との足並みは乱れ、互いの信頼感は失われ、孤立化の道を歩み始めることになるのです。
ゆっくり歩くことで見つかるもの
優柔不断で判断しない、気負うばかりで空回り、怠けてダラダラ等による「遅さ」は単なる時間の浪費です。ですが、スピードが出せるにもかかわらず、あえてスローペースにすることは時間の浪費ではありません。見た目は同じでも意味を持ったスローペースには意味があるのです。
スローペースにする意味
1 深刻なミスを高いレベルで予防する
2 問題を掘り下げ、多方面から分析する
3 周囲と認識を一致させ足並みを揃える
4 実行条件が整っているか確認する。
適切なスピードは人それぞれに異なる。
F1界のスーパースター、アイルトンセナはこう語っています。『生きるんだったら、思う存分、密度の濃い生き方をしたい。そうじゃないと、人生が台なしになってしまう。人には制御し切れないものがある。僕は辞められない。進むしかないんだ。』。その後、彼は壮絶な事故死を遂げます。早すぎるがあまり誰もついてこれない濃すぎる人生を歩んだ彼は彼の道を遂げたのだと思いますが、万人に適応できるものではありません。
何かしなければならないという焦りは自分に余裕が無く、『自分の気持ち』が片づかない状態です。自分の気持ちは自分で片付けられるはずです。周囲の遅さを焦りスピードを強要する前に、自分のペースを認識すること。そして、全体のペースを向上させるために何をすればいいのかを考えることです。人それぞれに適切なスピードは異なるのですから。
時というものは、それぞれの人間によって、それぞれの速さで走るものなのだよ。 シェークスピア