使える「学力」とは何かを本気で考えたフィンランド教育
フィンランドは緯度が高く人口も資源も乏しい国です。生き残るためには個々の能力と資質を高めて一人当たりの生産性をあげるしかありません。ですから、世界でも通用する普遍的な教育がなされています。教育の基本としているのが、専門的な力の追求です。そして、その専門的な力を上手に表現するプレゼンテーション力、合理性を与える論理力、有利に交渉するコミュニケーション能力等も、重要視されています。世界で活躍しなくとも今後ボーダーレス、グローバルな世界が進むにつれて、普遍性の高い能力はより求められることになることは間違いありません。フィンランド教育制度から学ぶところは沢山あると思います。
- 作者: 実川真由,実川元子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/09
- メディア: 単行本
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1 学校は「勉強だけ」するところである
フィンランドでは学校は「勉強だけ」する場所であることが徹底されています。教育者も生徒も学業に専念することができますし、勉強に対してのみ意識を集中させることで教育効果を高めることができます。日本のように友達関係、上下関係、躾や道徳など、あれこれ多機能を求める教育は、学業以外のことも考慮しなければなりませんので、教育効果は下がり、多くの無駄が生じています。
2 義務教育にも留年がある
ご存知のとおりフィンランドでは学費が無料です。留年しても家計を圧迫しません。受験も無いためマイペースで勉強が出来ますが、卒業までに厳しいテストが多く待ち受けています。そして、基準に達していなければ義務教育でも留年があり、段階を踏まずに進級しても、時間を無駄に過ごすことになるという考え方が徹底されています。『知るは一時の恥、知らぬは一生の恥』、日本のように進級させて落ちこぼれを放置する仕組みは存在しません。
3 すぐに進学しない
進学はあくまで選択枝の一つとしていつでも用意されています。会社に勤めたり、世界を旅したり、軍隊に入ったりと進学以外の社会経験も学びのために必要な要素として捉えており、クロスオーバーな環境が用意されています。何のために大学にいって学ぶのかを見つけてから進学を決めるほうが学習意欲が高く、卒業生の質も高くなるのは当然です。日本のように大学に入ってからウロウロするようなことはありません。
4 同じ答えを求めない
テストは基本的に論述です。『何時代に誰が何をしたか』といった表面的知識ではなく、『当時の武将はなぜそのタイミングでその戦術を選択したのか』という深層的な知恵を身につけさせて、『意見』を書く能力が強く求められます。フィンランドでは、知識を『自分の考え』としてまとめて、他人に伝え、議論するまでをワンストップで行えなければ意味がないと考えられています。日本のように全員に同じ答えを強要し、同じ答えが出ることに正解をつけるようなこととは間逆の考え方です。
教育の目的は各人が教育を継続できるようにすることである。
デュ-イ