組み合わせ直すことで生産性は変わる - ソーシャルネットワーク仕事術
日本においては仕事と言えば専業が一般的です。一つの仕事に集中する人の方が、あれこれ仕事を掛け持ちしている人よりも尊敬される傾向があります。ただ、その理由は『片手間は不真面目』、『どっちつかずで信頼がない』『専念でなければいい仕事はできない』等の主観的なものが多いのも事実です。一つのことに一心不乱に努力することは悪いことではありませんが、一つのことしか努力してはならないという理由は何処にもありません。二足のわらじを履くことを拒む理由は何処にも存在しないのです。
- 作者: ジェームス W.ヤング,竹内均,今井茂雄
- 出版社/メーカー: 阪急コミュニケーションズ
- 発売日: 1988/04/08
- メディア: 単行本
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1 専業は当たり前ではない
世の中にはいろいろな人がいます。確かに一つに注力するのが得意な人もいれば、2つ以上を要領よくこなす方が得意な人も世の中にはいるのです。その手段を、たった一つに規定するのは、活躍する機会を奪っているだけに過ぎません。ようは、どれが正しくどれが間違っているという話ではなく、多様化する能力のあり方を受け入れられるかどうかという価値観の問題なのです。そもそも、仕事は社会にとって有用な価値を創造していくことですから、価値の創造のための時間、空間に縛りを設けることは人的資源の無駄使いに他ならないのだと思います。
2 生産性が落ち込む理由
専業を推し進めると、その縛りにより価値を創造する人と時間と場所がミスマッチを起こすのです。一つにしがみつくことが「常識」にされれば、社会全体がある意味で我慢大会になっていきます。そうなれば、当然社会全体の生産性を落ちていきます。封建社会や階級社会や社会主義が崩壊した理由は生産的でないからという一点ですべて説明がつきます。考えるべきは人と時間と場所のマッチングしていく基盤であり、自分に見合った多様な生き方を認めることです。それは我慢している人を社会を開放させるための手段でもあり、社会全体を生産性のあるものに変えていく手段でもあります。
3 考えるべきは組み合わせ
世の中には沢山の仕事があります。「食べるための仕事」、「楽しむための仕事」、「成長するための仕事」、「社会のための仕事」、もちろん「仕事をしない」という選択肢もあります。それらをそれぞれの人の好きな分野、得意分野で自分のリソースをうまく配分すればいいのです。もちろん、ライフイベントによってその割合は変動するかもしれませんが、それを許容することで、社会全体の生産性が上がるなら、それは社会として認めるべきです。選択肢を認めずに無理矢理一つに絞り込むことを当たり前にするメリットは誰に存在するのかを考えれば答えは自ずと出てくるはずです。
4 ソーシャルワークのススメ
今後はまったく新しい発想が出てくることはそうありません。組み合わせをつかって何かしらの価値を生み出すという時代にシフトしていきます。そんな時代にソーシャルネットワークを使ったソーシャルワークは上手く機能するとおもいます。異なる2つの価値が結びつけば、それは新しい価値になります。専業では気づかないマッチングは、ソーシャルな場所でイノベーションになります。いまだ生み出されていない価値はソーシャルワークにより発掘されます。今後は専業よりもあれこれ組み合わせた仕事をしていく方が、堅実で意義があり尊敬されるべき生き方になっていくのだと思うのです。
アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない。
ジェームス・ウェブ・ヤング