sadadadの読書日記

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万物は流転する - 知っておきたい「作用反作用の理論」

消費者が声高にいろいろ求めれば、それに応じて生産者はその求められたものを支えるために奔走しなければなりません。しかしながら、この生産者が負担したコストを最終的に誰が支払うかといえば消費者そのものです。つまり、声高に求めれば求めるほどに自分自身の首を絞めることになるのです。ツケを回したつもりが実は自分がツケを払う羽目になっている。そんな『作用反作用の理論』のパターンは世の中に沢山あるのです。

学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)

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1 『作用反作用の理論』

よく富俗層への課税、貧困層への支援が話題に上がりますが、『作用反作用の理論』から言えば、これを求めれば求めるほどに貧困層は貧困になり、富俗層は富裕します。なぜなら、富裕層に課税して貧困層に再配分したとしてもお金の流れは変わらないからです。再配分が消費されれば、その分を富裕層がきっちり回収します。たとえ、貯蓄すれば再配分が売られなくなりますので結局消費に回らざるを得ず、これもまた富裕層に回収されるのです。加えて、その消費する基盤を支えるために働いているのは貧困層であることを考えれば、求めれば求めるほどに『仕事が』苦しくなり困るのは貧困層自身であることは間違いありません。

2 世の中はぐるぐる回っている

世の中は大きな目で見れば作用と反作用しか存在しません。そのバランスは常に保たれています。様々な強制力を使って規制を設けようが歪みは生じますが、『作用反作用の理論』は変わりません。非合理な力を行使すれば、その力は必ず自分に向かって帰ってきます。フリーランチは誰かが稼いでくれているから、目の前にあることを忘れてはなりません。その誰かを叩くことでフリーランチが消えて困るのは自分なのです。

  • 『作用反作用の理論』の摘要例

1 因縁を付ける「クレーマー」が、対策コストを乗せた「商品」を生む
2 世話を妬かせる「問題老人」が、過剰な医療をする「医師」を生む
3 学校に押しかける「モンスターペアレント」が、子供の事を考えない「先生」を生む
4 会社のことを考えない「社員」が、社員のことを顧みない「社長」を生む
5 国のことを考えない「国民」が、国民のことを考えない「国」を生む

3 人生塞翁が馬

福沢諭吉は『学問のすゝめ』で、「愚民の上に苛(から)き政府あり」と言っています。最近の日本がおかしくなっているのは『作用反作用の理論』を知らない、知ろうとしない人が増えてきているからに他ならないと思います。作用反作用の理論を無視した人の声が大きくなればなるほど、その人自身も傷つき、そして、その構造自体を支える基盤が失われていきます。無理な言動を控え、理に適った言動をすれば世の中はすぐに上手く回り始めます。万物は常に自然な形で流転しているのです。おかしくなるのはおかしいことをしているからなのです。


多数の人間に媚びた政策をしたリーダーに誰が責任を負わせることができようか
アドルフ・ヒトラー


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