sadadadの読書日記

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世界で通用するフィンランドの教育法

世界に通用するためには、専門的な力も必要ですが、それを表現するプレゼンテーション力、自分の考えを伝える論理力、より有利に交渉するための折衝力等が重要視されています。しかし、そういった能力は今になって急に求められ始めたわけではありません。昔から阿吽の呼吸を求める『ムラ社会』で、掟、慣習、空気等で縛りつけて、まともに討議してこなかった閉鎖的な環境が日本のコミュニケーション能力を低下させる原因に他なりません。今後のますますのボーダーレス、グローバルな世界を迎えるにあたって、ムラ社会からの脱却を決意し、普遍性の高い能力を養っているフィンランドから学ぶところは沢山あります。

受けてみたフィンランドの教育

受けてみたフィンランドの教育

1 フィンランド教育の考え方

フィンランドは人口も資源も乏しい国です。ですから個々の能力と資質を高めて一人当たりの生産性をあげるしかなく、生き残るためには世界でも通用する普遍的な教育が重要と考えています。その教育方針は個人に対してコミュニティ、組織、社会が行う責任があるというコンセンサスを前提にしており、教育を取り巻く環境についても多くを言及しています。教育に対してコミュニティ、組織、社会が権利を持ってしまえば、日本のように掟、慣習、空気等が蔓延し組織の論理優先の息苦しいものになってしまいます。ですから、責任はあるが権利はないことを強く強調しているところが印象的です。

2 フィンランド教育方針

  • 1 学校は勉強するところである

学校とは勉強するための場所であることが徹底されています。友達との関係や、集団生活、しつけや道徳を学ぶところ等、日本のようにあれこれ多機能を求めていないため、教育者も生徒も学業に専念することができます。勉強することに意識が集中させることでその教育効果を最大に引き出すことができるのです。曖昧で多くを求める教育では何が目的なのかを見失いがちになり、教える側も教えられる側もそれぞれに学校に対する目的が異なれば多くの無駄が生じることは必至です。

  • 2 義務教育にも留年がある

学費が無料ですから、留年しても家計を圧迫しません。また受験も無いためマイペースで勉強が出来ますが、基準に達していなければ義務教育でも留年があります。そもそも段階を踏まずに進級しても、分からないままの意味の無い時間を無駄に過ごすことになります。『知るは一時の恥、知らぬは一生の恥』で留年は当然のことと受け止められれば、そういった理不尽は無くなる筈です。タテマエの学歴などあっても仕方有りません。勉強したい人は、いつでもどこでも学習できる環境がそこにあれば、真の実力が身につきます。日本のようにとりあえず進級させて落ちこぼれを蔑み放置する仕組みは存在しません。

  • 3 すぐに進学しない

また、やりたいことを見つけるために、すぐに進学しません。進学はあくまで選択枝の一つです。あせらずに進路を決めさせるために会社に勤めたり、世界を旅したり、軍隊に入ったりと学ぶこと以外にも社会経験を積ませる環境があります。受験のハードルは低いですが、卒業までに厳しいテストが多く待ち受けています。何のために大学にいって学ぶのかを見つけてからいくため、もともと学習意欲は高く、卒業生の質も高くなるのは当然です。日本のように大学に入ってからウロウロするようなことはありません。

  • 4 求められるのは違いを刷り合わせるコミュニケーション能力

テストは基本的に論述です。知識を咀嚼して意見を書いていく能力が強く求められます。日本のように『19XX年に誰が何をしたか』などといったことなど覚えるには値しません。覚えるべきは『当時の武将はなぜそのタイミングでその戦術を選択したのか』です。覚えることは重要ですが、覚えるべきは原理原則だけでよく、詰め込んだ知識を解釈して表現する力、他人に自分の考えを伝える力の方が大切であるという共通認識があります。そうなれば必然的にコミュニケーション能力は育成されますし、まとまった考えを表現することで自分の認識を深く掘り下げる力もつきます。日本のように全員に同じ答えを強要し、同じ答えが出ることに正解をつけるようではガラパゴスになる温床になって当然です。


自己教育の真の方法は、すべてのことを疑ってみることである。
ジョン・スチュアート・ミル


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