上手に自己主張するために考えるべきこと

社会にはいろんな合意が存在します。いろんな人がいろんな人に対して合意をしているから当然といえば当然です。この合意は主張と主張が折り合ったところに存在し、その落としどころの殆どは議論という形で決まります。この合意が揺らいでいればそれを支える互いの信頼も揺らぎます。逆に互いの信頼が揺らいでいれば合意も揺らぎます。合意と信頼は表裏一体なのです。社会は様々な合意で成り立ってます。

気持ちが伝わる話しかた―自分も相手も心地いいアサーティブな表現術

作者: 森田汐生
出版社/メーカー: 主婦の友社
発売日: 2009/12/18
メディア: 単行本（ソフトカバー）
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１　議論を合意に結び付けていくために

合意を形成していくことは価値を確認していく行為ともいえます。お互いの価値観を理解、尊重している社会は安定し始めます。安定は議論により作られていっているといっても過言ではありません。そのような議論をするための前提として自分の主張が存在しなければなりません。また、相手の主張が存在しなければなりません。そして、その間を模索していくためには忍耐強く対話して理解を進めて行くといった能力が必要になります。

２　アサーティブネス：自己主張すること

アサーティブネスという言葉をご存知でしょうか。自己主張という意味ですが、自分の要求や意見を、相手の権利と調整しながら合意形成をしていくという意味も含んでいます。他人の意見を尊重しながら自分の意見を語ることは難しいと思われる方も多いと思いますが、実はそうではありません。自分の性格を変えることは難しいですが、自己主張をする手段は変えられます。ストレートに自我を押し付られては鬱陶しがられることは間違いありませんが、相手を見ながら上手く自我をセーブする方法さえ覚えればいいのです。

３　アサーティブネスが求めるもの

アサーティブジャパン代表の森田氏によれば、ますは自分の権利を尊重できるようになることだそうです。自分の心、願い、考え、生き方、価値観、そして身体を、まずは「かけがえのないもの」として自己に対する信頼を築くことで相手に対する共感や思いやり、敬意の念が生むようになる。そして、互いのの違いを超えて理解し合うためには、丁寧に聞きあうこと、自分の考えをきちんと伝えること、よりよい関係を作りたいと願うことを基本に、暴力でも戦争でもなく対話を通して理解しあうことが重要性であるとも述べられています。

４　合意は互いの常識を整理することを求める

以前の合意が古くなって現状に合わないことなど日常茶飯事に起こりえます。合意を当たり前として片づけることはお互いの考えを尊重している態度とは言えません。腹では疑いながら合意を確認し合う行為はお互いの信頼を失っていく行為でもあります。合意が納得できなくなれば相手が納得するまで話し合うことが信頼を維持する上で重要なことなのです。合意には継続した努力が必要なのです。

５　合意は争いごとを減らす

合意を避けることは常識を放置しておくことです。社会全体がかみあわないのはそれぞれの『常識』が幅を効かせすぎていて、ケンカになりやすい土台が存在するからです。自分の常識だけが唯一正しいと思い込んでいる人が大抵争いごとを起こすのです。合意形成が少ない社会は不安定なのです。合意が決裂した状態は澱んだ空気を生み出して壁を創り出します。そして、互いの心に疑念を抱かせて排他的になり、様々な問題を引き起こし始めます。そんな不毛な争いを引き起こす前に合意形成を図る労力が、争いで失われるものよりも少ないなら、それをやるべき価値はあるはずです。